最高裁判所第三小法廷 昭和39(さ)6 判決
主 文
原略式命令を破棄する。
被告人を免訴する。
理 由
本件記録によれば、福井簡易裁判所は、昭和三九年三月四日に、「被告人は、所
轄警察署長の許可を受けないで、昭和三八年一二月二〇日午後三時ごろ、福井市a
町b番地先道路上において、人夫Aをして、長さ九〇センチメートル幅六〇センチ
メートル深さ八〇センチメートルの穴を掘らしめる作業をしたものである。」との
犯罪事実を認定して、道路交通法七七条一項一号、一一九条一項一二号、刑法一八
条を適用し、被告人を罰金三〇〇〇円(換刑処分、二〇〇円を一日に換算)に処す
る旨の略式命令をなし、同月一〇日にその謄本を被告人に送達したこと、および右
略式命令は、法定期間内に正式裁判の請求がなかつたため、同月二五日に確定した
ことが認められ、また、添付された別件記録によれば、同裁判所は、右略式命令前
である同年二月一日に、「被告人は、警察署長の許可を受けないで、昭和三八年一
二月二〇日午後三時ごろ、福井市a町b番地先路上において、使用人Aをして、右
道路のアスフアルトを割り、幅六〇センチメートル長さ九〇センチメートル深さ八
〇センチメートルの穴を掘らせ、工事をしたものである。」との犯罪事実を認定し
て、道路交通法七七条一項一号、一一九条一項一二号、刑法一八条を適用し、被告
人を罰金三〇〇〇円(換刑処分、二〇〇円を一日に換算)に処する旨の略式命令を
し、同月六日にその謄本を被告人に送達したこと、および右略式命令は、法定期間
内に正式裁判の請求がなかつたため、同月二一日に確定したことが認められる。
ところで、右二個の略式命令によつて認定された犯罪事実は、その日時、場所お
よび内容において全く同一であることが明らかである。したがつて、同裁判所は、
後の略式命令(三月四日付でしたもの)請求事件を刑訴四六三条一項により通常手
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続に移したうえ、同三三七条一号により免訴の言渡をなすべきであつたといわなけ
ればならない。しかるに同裁判所は、この手続をとることなく、前記のように重ね
て略式命令をしたのであるから、これが法令に違反し被告人のために不利益である
ことはまことに明白である。
よつて、刑訴四五八条一号、三三七条一号により、裁判官全員一致の意見で主文
のとおり判決する。
検察官 平出禾公判出席
昭和三九年一〇月二七日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 田 中 二 郎
裁判官 石 坂 修 一
裁判官 五 鬼 上 堅 磐
裁判官 横 田 正 俊
裁判官 柏 原 語 六
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